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そもそも選挙とは

 都議選の結果は,あきれるほど予想通りだった.自民・公明の大勝,共産が議席を増やして,民主が没落した.この結果を民主党の幹部はどう受け止めるのだろうか.このまま何もしないで参院選を迎えるつもりか.

 民主党の幹部は「公約」の重さを理解してないように見える.党が躍進したのは「マニフェスト」のお陰だった.党が国民の支持を失ったのは,菅直人や野田佳彦が露骨な公約破りをやったからだ.

 そもそも国民が政党ないし候補者を選ぶのは,その政策によっている.過去の日本の政治を見ると,この辺がとかく軽く考えられていたように思う.たとえば選挙が終わってから政党の再編成をやったりしていた.これでは国民は何に対して投票したのか,訳がわからないことになる.

 選挙が終り,政権を獲得してからあとで党首を変えるなどということも,日本の政治家は平気でやってしまう.党首によって党の方針は変るだろうから,これほど有権者を馬鹿にした話はない.党の政策や党首を決めたら,その党が政権をとればどういう政治をするだろうかが推測できる.こうして自分たちが何をしようとしているのかを,できるだけ明らかにした上で,だからわが党に投票してください,となるのが本来の間接民主主義ではないだろうか.

 政党が提示する政策というのは,それほどまでに重要なものだ.それをおろそかにすることは,間接民主主義を否定するに等しい.この大切さを理解してない政治家が,日本には多すぎる.特に民主党は,何を考えているのか,私には理解できない.

 たとえば憲法改正,原発再稼働,TPPへの参加,などについて,民主党はどういう政策を持っているだろうか? これらの問題について民主党は「わが党の政策はこうだ」と言えるだろうか? これほど重要な事柄について,基本政策ひとつ打ち出せない政党に,誰が投票できるだろうか.

 自民党もひどい.高知県の自民党議員は「TPPに反対」と言っている.ところが中央では,安倍政権はTPP推進の立場である.地方選出の国会議員や候補者ががカッコいいことを言っても,党首とその周囲はTPP推進であり,もう既定の路線である.この候補者がそれを知らない訳ではないだろうから,実現不可能なことを承知のうえで「TPP反対」を唱えているわけだ.このような人たちに投票してはいけない.

 自民と公明は選挙が上手だと思う.小選挙区にきっちり照準を合わせた選挙戦をしている.対する野党勢力は,小さな党ばかりが林立し,候補者を統一する努力さえしていない.これで勝てる訳がない.

 なぜ統一候補を立てないのか? まず共産党が,他党と決して共同戦線を張ろうとしない.この頑(かたくな)な姿勢がしばしば槍玉にあげられる.私もそう思う.独自候補をたてて善戦して,それで良しとしていたら,なるほど万年野党でしかない.政権をとろうという意思も能力もなく,外野席から正論をのたまっているだけの無責任政党に堕していないか.猛反省を促したい.

 しかし統一候補を立てられない別の理由もある.たとえば民主党は憲法改正に賛成なのか反対なのか.TPPについては? このように訳のわからない政党と手を結んで統一候補をたてる,などという冒険ができるだろうか.

 私は民主党は分割すべきだと思う.たとえば憲法改正(正確には,自民党の改憲草案)に賛成か反対かで2党に分れればよい.そうすれば,どちらも旗色を鮮明にできる.それをやって初めて,国民は民主党に投票するかどうかを決めることができる.それをしないのは,何度も書くけれど,間接民主主義への冒涜である.

原発推進の理由

 憲法とTPPについて,安倍自民党の政策は,あまりにひどい.それだけではない.原発再稼働,消費税値上げ,その他とにかくマトモな政治家がやっていると思えない政策の見本市のような政権である.今回は原発再稼働について考えてみよう.

 3.11の大地震・大津波のとき政府は民主党(菅直人首相)だったけれど,原発は歴代の自民党政府が一貫して推進してきた政策だった.そして安倍政権は当然のごとく原発推進を実行している.大きな被害を受けた福島県の人々は,どう考えているのだろうか.第2,第3のフクシマが起きないように,原発への依存をやめるべきだという国民の声を,もちろん安倍氏は無視するご意向でしょう.

 原発推進の理由は,エネルギーの安定供給である,というのが自民党の従来の主張である.しかしエネルギーは原発なしでも十分足りている,という計算もある.仮に足りないとしても,原発事故の危険性や,原発があることのデメリットと天秤にかけた場合,それでも原発を推進すべきとは私には思えない.本当は,原発を推進したい「別の理由」があるのでは?

 と言って思い当るのは1つのことしかない.おそらく日本政府は原爆を製造する能力を保持したいのだろう.原発を持っていることで,原爆に用途変更が可能な核物質を常に準備できる.近隣国に対し,日本は原爆製造能力をもっているぞ,という無言の脅しにも使える.それがホンネではなかろうか.

 それが1つの動機,と私は想像している.もう1つの動機は「アーミテージ・レポート」だ.日本に対する米国CSIS(戦略国際問題研究所)の「提言」である.エネルギー政策として,日本は原発を稼働させるべきだと書いてある.

 第3次アーミテージレポート(2012)の主要な内容は次の通り.
1.原発を再稼働せよ.
2.TPPに参加せよ.カナダ,米国とのFTAを推進せよ.
3.韓国との関係改善に努力せよ.
4.平和憲法を改正し,集団的自衛を可能にせよ.

 この4項目のうち,たぶん3を除いて,安倍内閣はほぼ忠実に米国からの指示に従っている.TPP反対の声は今も自民党内から聞こえて来るが,結論はもう出ている.安倍氏にとって地方議員の声よりも,米国からの指令のほうが,はるかに重視すべきことだからです.

 それなら3も実行すれば良さそうなものだけど,それは彼の右翼的体質(選挙での支持基盤?)が許さないのでしょう.「侵略」の定義には色々あって定説はない,などと言っているようでは,韓国との関係改善は望めない.安倍さんはオバマ大統領に尾を振り愛嬌を振りまいて近づき,親密な日米同盟を日本国民にアピールしたいらしい.しかし肝心のオバマ氏のほうは,安倍氏に近づきすぎることを警戒しているように見える.北アイルランド,アーン湖畔で開かれたG8サミットでも,オバマ氏に逃げられたようです.

 話をもとへ.
 原発について考えるうえでは,3.11以後のマスコミの惨状を考慮に入れねばならない.安全でないものを,さも安全であるかのように言いくるめ,重要でないことを,さも重要であるかのように報道する.本当に重要なことを小さく報道する.または報道しない(隠ぺいする).次々と登場する解説者や専門家の能天気ぶり.専門家とはかくも信用できないものであったかと,ほとほと感心してしまった.

 さらに原発関係では,議論の基礎となるべき情報が信用できない.電力会社や政府の,みごとなまでの隠ぺい体質.国民が知らない事実がどれほど隠されているのだろうか.実測値のデータそのものも改ざんされている疑いさえある.このような状況下では議論そのものが意味をなさない.

 しかし議論以前の問題として,原発推進は安倍氏にすれば既定路線であり,これは動かせない.そういう政党を日本国民は,まだ支持するつもりなのだろうか.

TPPと非関税障壁

 甘利明さんは今はTPP担当大臣とかになっていて,TPPの推進役をやっている.野党だったときには厳しい条件を出して,「この6項目が確認できねばダメだ」と事実上の反対を旗振りしていたけれど,与党になると推進.まこと立場によって人は変われるものだと,私も感心している.

 死守すべき「聖域」農産物が5項目ほどになった,と最近の報道は伝えている.もはや自民党の議員はTPP反対ではない.予定通りの三文芝居.農水族の議員が党内で大ゲンカをしたのも,「やるだけはやったんですけどネ」という言い訳づくり,アリバイ工作でしょう.選挙で投票する側としては,そういう小細工をきっちり見抜く必要がある.

 TPPの原則は関税撤廃.一般論として,このテの約束ないし制度には,ポジティブとネガティブがある.ポジティブは「関税あり」が原則で,無関税にする項目を決める.ネガティブはその逆.TPPは後者である.つまり「関税なし」が原則で,自由化しないものを協議で決める.言及されてないものは自動的に無関税となる.

 そういう制度で,わずか5項目にしか言及しないというのだから,日本農業の未来はしこたま暗い.これでまだ自民党に投票しようなどという農家がいたら,まあ自業自得としか言いようがない.

     *      *      *

 農産物の関税ばかりが話題になるけれど,じつはTPPは「非関税障壁」の撤廃をも目指している.たとえば「食の安全性」の問題.日本の食品安全基準は,分野によっては米国より厳しい.この厳しい基準が「非関税障壁」だとして,変更を迫られる可能性がある.日本人が国会で決めた基準よりも,米国の甘い基準のほうが優先される.日本国としての主権を主張できない.

 こういう「主権侵害」に等しいことを可能にするのが,ISD条項である.ISDとは投資家(Investor)と国(State)との間のトラブル(Dispute)という意味である.企業は,輸出相手の国を,この条項に従って訴えることができる.たとえば米国の企業が「食品の安全基準が厳しすぎる」と日本政府を訴える.この裁判で負けたら,日本政府は罰金を払わされたうえ,安全基準の緩和を強制される.今までISD条項による訴えでは,米企業の勝率はほぼ100%というから,こういう裁判で勝ち目はないも同然.

 具体的に考えてみよう.
 牛肉を食べてかかるBSEという病気がある.人間の脳がスポンジ状に変質してしまう,恐ろしい病気で,治療法はない.この病気を警戒して,日本では牛は全頭検査をする.米国では牛の0.1%しか検査をしていない.また日本では生後20か月未満の牛しか食肉にできなかったが,TPPによるトラブルを予想してか,最近この月齢上限を30か月に引き上げたらしい.食品の安全を確保するため,科学的根拠も含め各国独自の判断があるのは当然で,それを外国の私企業からクレームをつけられて変更させられる.国としての主権にもかかわるし,国民の食の安全にもかかわる,大きな問題である.

 同質の問題としては自動車等の安全基準の問題がある.現行では日本のほうが米国より厳しい基準を採用しているが,その基準の緩和を求められる可能性がある.自動車の排ガス規制の問題も同じこと.

 また軽自動車の税制優遇は日本独特の制度であるが,それにクレームがつく可能性もある.つまり軽自動車という車種をなくすように要求されるかもしれない.日本と米国では国土の広さが違う.軽自動車は税金も安く,空気を汚す程度も少ない,日本の風土に合った乗物である.それはダメだ! と外国企業が言ったとして,そういう妄言に従う必要はない筈だ.ところがTPPに参加すると,日本政府は外国企業に従わざるをえなくなる.

     *      *      *

 まだまだある.日本には「共済」という制度がある.組合や団体などで作っている.参加者はカネを出し合って,共に助け合おうという仕組みだ.こういう仕事は米国では銀行や保険会社が金儲けのためやっている.日本は相互扶助.米国は金儲け.目的がまるで違うが,米国企業からすると,日本の共催や互助会の仕組みは,国が援助して一般銀行などの参入を妨げている「非関税障壁」に見える.共に助け合おうという日本的美徳は,米国の金の亡者の目には「自由競争の妨げ」にしか見えない.そこでISD条項が登場する.

 この互助の精神の最たるものが日本の医療制度,つまり「国民皆保険」の制度である.この制度の有難味は,だれか家族が大病を患ったとき実感される.ゆりかごから墓場まで国がすべて医療費を支払ってくれるという英国のような高貴な制度ではない.日本は貧乏であったから,貧乏なりに知恵をしぼって,この互助の仕組みを作り維持して来た.国の出費が少なく,国民が受ける恩恵が大きい,世界でも類を見ない優れた賢い制度である.もちろん米国の金の亡者には,この制度も「自由競争の妨げ」としか映らない.国民皆保険の破壊は,日本の医療制度を,世界で最も粗末な医療制度しかもたない国,つまり米国のように変えてしまうことになる.これは日本国民が絶対に選んではいけない道である.

 まだある.まだまだある.調べれば調べるほど,TPPへの参加によって国民生活が受けるマイナスの影響が見えて来る.TPPに反対だ,とつい先日まで自民党は言っていた.正論である.その正論を捨てて今やTPP参加という売国政策にまい進している.国民の目線が消えて,企業や金持ちのためだけの政策になった.もちろん庶民の生活や苦しみは,安倍晋三お坊ちゃん氏には理解不能でしょう.

 こういう政府にゴーサインを与えてはならない.その意思表示を国民ははっきりと,間近に迫る参院選で示さねばならない.

米国と日本とTPP

 昔,「年次改革要望書」というものがあった.日本政府がとるべき施策について,米国からの要望が書かれたものだったらしい.日本政府の政策とは形ばかり.じつはこの要望書に指示されたことを,そのまま実行していた.それが日本の政治であった.人材派遣の自由化,大規模小売店店舗法の廃止,郵政民営化など,いずれもそうだった.小泉改革などとマスコミはカッコ良く描いて見せたけれど,何のことはない,米国の意向をそのまま実行しただけの傀儡政権であった.

 その習慣を止めたのは,鳩山由紀夫だった.年次改革要望書という制度を廃止したのである.この大事件を日本のマスコミは報道しなかった.したのかもしれないが,大きくは報じなかった.

 こういう大改革は,既得権を持つ人たちに不都合である.いろいろな事件が起こりうる.ケネディ暗殺は,そういう一例だろう.鳩山由紀夫は暗殺されなかったが,普天間基地の問題での失策などが大きく報道されて退陣に追い込まれた.親の財産がどうだとか,ほとんど言いがかりのような「問題」が,意味ありげに流布された.マスコミや官僚など,日本の既得権者たちが大活躍をした.背後に米国からの働きかけがあったのかどうかは誰も知らない.

 というわけで,鳩山が退陣し,後がまに座った菅直人は「日米経済調和対話」というのを始めた.つまり,再び米国の意向を受け容れるようにした.これで民主党は変質した.

 そしてTPPの話が浮上した.
 まだ民主党政権(野田内閣)だったとき,自民党は「TPP参加の判断基準」6項目を発表している.(2012年3月).
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/055.pdf
その内容は次の通り.
1.政府が,「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り,交渉参加に反対する.
2.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない.
3.国民皆保険制度を守る.
4.食の安全安心の基準を守る.
5.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない.
6.政府調達・金融サービス等は,わが国の特性を踏まえる.

 なお上記文書には,次の1文が添えられている.
- わが党(自民党)は,政府が11月と同様に二枚舌を使いながら,国民の知らないところで,交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さないよう,政府に対して,上記の判断基準に沿うことを強く求めていきます.  発行:自由民主党広報本部  編集責任:広報本部長 甘利 明

 1は関税撤廃の話.日本のマスコミはこの問題ばかりを取り上げて,農業関係者が反対していることばかりを強調していた.2は輸出入の上下限の取り決めに対する警戒かな? そして3〜6が自由貿易の「非関税障壁」に関する事項.さすが自民党.要点をズバリ押さえている.そして昨年12月の衆院選.自民党の多くの候補者が「TPP反対」を掲げて当選した.

 この選挙では自民党の大勝が予想され,実際そういう結果になった.安倍晋三は選挙期間中すでに政権奪取後の計画を練っていた.TPPへの参加は当時すでに既定路線であった(「点検100日安倍政権」朝日新聞4月4日).しかし安倍氏はTPP賛成などと言わないで,自党の地方議員らが反対を唱えるのを放置した.その方が選挙に有利と踏んだのでしょう.

 そして今は安倍内閣.自民党は政権政党で,TPP参加に向けて邁進している.上記6項目については,いずれにも安倍内閣は対応できてない,または対応できない可能性が高い.

 私の苦手な話題ばかりが続くので,今回はここまでにします.

TPPposLDP2.jpg

憲法と人権

 自民党の改正憲法案は,日本を戦争のできる国にするだけではない.他にも多くの問題点がある.その1つは,人権の扱いが軽いこと.自民党案の随所にそれが見られる.
http://satlaws.web.fc2.com/0140.html
が,とりあえず次の3点を指摘しておこう.

1. まず前文.現在の憲法は「日本国民は〜」で始まる.自民党案は「日本国は〜」となっている.国民より先に「国」がある.主人公であるべき「国民」は「国」よりも後に置かれている.

2. 基本的人権は,人が生まれながらに持っているもの,持つべきもの,というのが現憲法.それが自民党案では,人権は国が保証してくれるものになっている(たとえば第19条).しかも「権利には義務が伴う」と明言している(第12条).まず国があり,国籍があり,国民の義務があり,そのうえで「人権」が与えられるという仕組み.

 私は逆だと思う.人は国籍以前に人であり,国籍とは無関係に人権が保証されねばならない.「権利には義務が伴う」など,どこかの校長先生の訓辞のような文面は,それだけで恥ずかしい.これが私たちの憲法です,などと自慢できるものでなくなってしまう.

3. 現憲法の「公共の福祉」が,自民党案では「公益及び公の秩序」に変っている.
  - 「公共の福祉」の「公」は「人々」のこと.
  - 「公益」や「公の秩序」の「公」は「国」のこと.
 字づらは似ているが,意味は全く違う. 基本的人権を制限できる唯一の根拠が,現憲法では「公共の福祉」(人々の幸福).自民党案では「公益及び公の秩序」(国の都合).
 国の都合によって個人の権利を制限できる.この「公益及び公の秩序」には,上限がありません.いくらでも拡大解釈が可能である.日本国軍の海外派兵や徴兵制と同様,この場合も「歯止め」がない.越えてはならぬ上限が明記されていない.

 話は少し飛躍する.
 警察検察の横暴が最近特に目につく.容疑者に自白を強要し,調書を作りさえすれば有罪にできると考えているらしい.その調書さえも偽物であった実例も散見される.「調書偽造」でグーグル検索してみればよろしい.

 戦時中は,あらゆる卑劣な手段で「自白」に導き,それを根拠に犯罪者に仕立て上げて処罰した.こうして政府への批判を抑制し戦争を遂行した.戦後の法体系は,こういう歴史を強く反省したうえに再出発したのでなかったか? 私は高校の社会科で「自白は証拠にならない」と教わりました.いま日本の法律を牛耳るプロフェッショナルたちは,この原則を忘れているように見える.

 つい先日も国連の拷問禁止委員会で,「日本の司法制度は自白に頼りすぎだ.中世のようだ」と言われ,日本の大使が「シャラップ」と叫んだらしい.礼儀もヘッタクレもない.こういう人が「大使」とは,同国人として恥ずかしい.
 とにかく,これほどまでに日本の制度は,世界基準からハズれている.そういう現状がある.

 しかも「秘密保全法」や「マイナンバー法」など,トンデモな法律が次々と国会にかけられ,通過している.従来は小さな違反であったものを「厳罰化」することになったという類のニュースは,もう聞き飽きた.これら全ての変化が,警察検察の権力の拡大膨張という大きな流れを作っている.このうえ憲法まで改正したら,どのような国になるか想像できるだろうか?

 警察の権限ばかりが強い警察国家.それが本当に我々の目指すべきものだろうか.国の方針に対し批判を許さないような強い強制力は,もちろん徴兵制の執行にも好都合である.まさに「戦前への回帰」そのものである.

越えてはならぬ一線

 - 過去の過ちまで美化するつもりはないが,自分の国の伝統や文化,生まれた家族に誇りを持ち,教育することのどこがおかしいというのか.

と平沢勝栄議員(自民党)は言ったそうだ.自民党の改正憲法草案の作成に携わった者として,その立場からの発言だ. 「どこがおかしいか」はさておき...
 「過ち」と平沢氏は言った.それは誰の,どういう過ちなのだろう.平沢氏たちが練り上げた改正憲法案は,その「過ち」を踏まえたものだろうか?

 というわけで,やっぱり憲法の話をします.
 自民党の憲法案で,特に問題だと思うことがある.その1つは,日本を「戦争のできる国」にしようという意図がありありと見えること.想像するに,安倍晋三氏にすれば,日本の今の憲法は敗戦でアメリカから押し付けられたもの.軍隊をもたない,戦争をしない,などというトンデモナイ内容である.これを改正して日本を戦争のできる,普通の国にする.それが安倍氏の悲願「戦後レジームからの脱却」である.

 安倍氏は「アーミテージ・レポート」(2012年版)のことを,まさか知らない訳ではないでしょう.米国CSIS(戦略国際問題研究所)が,今後の日本はこうあるべきだ,と「提言」をしている.たとえば,原発を再稼働すべきである.TPPに参加すべきである.憲法を改正して,戦争のできる国になるべきである.そのように「提言」されている.

 つまり安倍さんの政策は,何のことはない,「アーミテージ・レポート」が要求していることを,そのまま実行しているだけ.安倍さんの眼は日本国民を見ていない.アメリカの意向に唯々諾々と従うのみ.これが彼の言う「戦後レジームからの脱却」の正体です.「押し付けられたものだからダメ」などは大ウソ.押し付けがダメというのなら,まず「アーミテージ・レポート」を拒否すべきでしょう.

 戦争をできる国になったら日本軍がまず送られるのはペルシャ湾方面かもしれない.それも「アーミテージ・レポート」に書かれています.行ってどうするか? なすべき様々な作業の中にはもちろん「戦闘行為」も含まれる.すべて「アーミテージ・レポート」のご託宣通り.

 で,いつ行きますか? じゃなかった.誰が行きますか? そう,自衛隊あらため日本国軍ですね.行き先はペルシャ湾.尖閣諸島で中国と一戦交えたいと思っている人もいるかもしれないけれど,それは国の存亡をかけることになりかねない.いくら安倍さんでも,それくらいは判っているのでは.

 また話がそれてしまった.
 自衛隊員が行くんですよね.人を殺しに.ひょっとして殺されるかもしれない所に.国土防衛とは関係なさそうな場所に.何のための戦いかもよくわからない戦争に.
 「行け」と言われたら,君は行きますか? いや,俺はいいんだ.税金を払ってるから.そのカネで自衛隊員が行けば良い,と考えてませんか?

 アベノミクスが話題です.円や株価が上った下ったと,かしましいこと.安部さんの目的は選挙.それまでは国民受けの良い政策を打ち出す.それがアベノミクス.選挙までメッキがはがれなければ,それで良し.

 円や株価の変動は,安部さんにすれば,どうでも良い話です.もちろん日本を好景気に導くことができれば最良だけど,失敗しても何の問題もない.ちまたに失業者があふれる世の中になったら,自衛隊に入りたい人も増えるでしょう.そういう人が戦争に行けば良い.あ,君は行かないんだよね.税金払ってるから.

 ひとたび「戦争ができる」国になったら,軍の規模は拡大します.それを税金でまかなうのは大変なこと.日本国は借金まみれ.政府は貧乏なんです.愛国心あふれる人がボランティアで軍に入ってくれるかな? いやいや,もっと良い方法がある.言わずと知れた徴兵制.これです.これが最も安上がりな方法.

 それはないでしょう.徴兵制なんて,あまりに非現実的.笑われてしまいそうですね.

 で,徴兵制にはしない,と,どこかに書いてありますか.憲法改正案の条文をよく読んでください.「徴兵制にしない」と断言することを,注意深く回避しているのが読み取れませんか?

 過去の「過ち」とは,どういう過ちだったのか.それは「歯止め」がなかったことです.越えてはならぬ一線,ここまでは許容できるが,それ以上はしない,という一線が明記されてない.だから軍は拡大を続け,どこまでも戦争にのめり込んで行った.それが過去の過ち.そう思いませんか.平沢さん?

民主党への提言

 憲法改正,原発再稼働,TPP.この3つの問題にどう対処するか? それが今度の衆院選で政治家や政党を選ぶ基準となる.逆に言えば,この3つの問題について態度を保留しているような政党は,政党としての形ができてないと言える.
 そう.民主党だ.この3つの問題のどれについても,党としての方針を持つことができない.方針のない「政党」に誰が投票するだろうか? このままでは民主党は,第2の社民党になる.

 上記3点のうち,憲法改正については少し注釈が必要かもしれない.憲法改正は是非ともいま議論せねばならない緊急の課題ではない.憲法改正を今やりたいのは安倍晋三である.自民・公明・維新など,改憲に同調する勢力が今,国会内で大きな比率を占めていて,今度の衆院選でさらに勢力拡大が見込まれる.安倍晋三にすれば今こそ憲法改正の絶好のチャンスである.
 そういう状況下での「憲法改正」の議論となる.ただし改憲について一般的な議論をして煮詰めて行くような時間はない.つまり正確に言うならば,これは改憲か護憲かという対立ではない.「自民党の提示する改憲草案」に賛成か反対かだ.政権政党が提示している問題であるから,他の政党は賛否の姿勢を明らかにすることを求められる.そういう問題だ.

 民主党はできるだけ早く,上記3つの問題について,態度を明らかにして欲しい.もう一度書いておこう.
1.自民党の改憲草案に賛成か反対か?
2.原発再稼働に賛成か反対か?
3.日本のTPP参加に賛成か反対か?
 この3つの問いかけに対し,明確な姿勢を政党として見せて欲しい.あまりに当然のことだけど,政策が不明瞭な政党には投票できない.

 民主党は「反省会」をやったらしい.しかし,それで誰かが責任をとらされたとか,党の方針が変ったという話は聞かない.想像するに,「反省会」と言うよりは「親睦会」のようなものだったのかもしれない.これほど空気の読めない人たちであったのかと,私はあきれている.

 いま憲法を改正すれば,米国は日本の若者の命を中東で使い捨てることができるようになる.ジャパンハンドラーたちは,そう要請している.
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/59054
 そして安倍晋三はそれに従おうとしている.今度の衆院選で大勝すれば,それが実行可能となる.
 また自民党の改憲案は,日本人の基本的人権を危機にさらしている.条文を少し調べてみればわかる.

 TPPへの参加は国民を地獄にたたき落とす.最も懸念されるのは国民皆保険医療制度が失われる可能性である.日本国民が絶対に見習ってはならないもの.それが米国の医療制度だ.医療費を払えない病人には,死ぬ自由しかない.世界最悪の医療制度である.TPPに参加すれば,やがて日本の医療制度は米国と同じになる.
 原発再稼働の問題は,ここで繰り返す必要もない.とにかく,こうした問題について,安部政権はあまりに無思慮,無頓着である.たくさんの国民が本当に心配している.この国はどこに行ってしまうのだろうか?と.

 この安部政権の暴走にストップをかけたいと願う国民は多い.ところが,今度の衆院選では,その票の行き先がない.票の受け皿がない.国民は自民党に投票するか,または最初から負けが決まっているような弱小政党に投票するかしか選択肢がない.

 民主党の議員は,こういう空気を読めないのだろうか.いま必要なのは意見の違うもの同士がいたずらに集合していることではない.明瞭な政策を打ち出して,反自民・非自民の票の「受け皿」を用意することである.

 民主党は2つの政党に分れるべきだと思う.選挙はもうそこまで迫っている.できるだけ早く党を2分して,投票するに値する政党を作って欲しい.
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