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放射性物質と病源体(再掲載)

 今年も3月11日がやって来る.報道も下火になって福島の本当の現状はわからない.空間線量が年間20mSv以下ならば住民は帰郷しなさいなどという,とても正気と思えない政策を,今の政府は押し進めている.この国はどこまで狂って行くのだろう.

 3.11にちなみ,福島事故関係の昔の記事を転載します.

(以下は「へなちょこ自然保護」2011年5月29日の記事を転載)
 放射線の健康への影響に関し,いま最も注意すべきは「内部被曝をどう防ぐか」である.つまり放射性物質を体内に取り込まないために,どういう注意が必要かという知識である.

 それは「病源体を取り込んでしまわない」ための注意とよく似ている.もちろん放射性物質と病源体との違いは色々ある.たとえばアルコール消毒などは,放射性物質には全く無効である.
 いろいろ違いはあるが,ここでは共通点に注目する.それが「内部被曝を防ぐ」ため大いに参考になると思うからである.

 放射性物質がどのような形で存在しているか,本当のところ私は知らない.分子の状態で,つまり気体として空気に紛れ込んでいるのかもしれない.しかし放射線の測定場面などの映像を見る限り,多くは土やホコリに付着しているらしい.だから汚染地区では「土やホコリの微粒子を口や鼻から取り込まない」ことが重要である.


 病源体,というか,一般に微生物を扱う基本はパストゥールが「自然発生説」を否定した実験である.当時は微生物は自然発生すると信じられていた.スープを放置すると腐敗する.それを顕微鏡で見ると,たくさんの微生物がいる.これはスープの成分に,ある種の「力」が働いて,生命体へと変化したのである.その「力」は気体のようなもので,空気中に存在しているのだ,と.これを「生気説」という.
 これに対しパストゥールは「芽胞説」を唱えた.スープが腐敗するのは空気中にいる微生物(芽胞)がスープの上に落ちて,そこで増殖したからだ.

 この論争では,どちらも同じ程度に現象を説明できた. 詳細を省略しますが,要するに「生気説」と「芽胞説」との議論の分かれ目は,スープに生命を発生させる「生命の元」が,生気説では気体であるのに対し,芽胞説では固体であること.つまり「芽胞」は非常に小さいけれど,しかし重さをもった微粒子である.微弱な風に吹かれて容易に舞い上がり空気中に浮遊していることも多いけれど,無風状態ではやがて地上に降り積もる.

 つまり「芽胞」(今の知識でいえばバクテリアとかカビの胞子とか)は,要するにホコリの一部である.だから芽胞が入り込まないようにするには,ホコリが入り込まないようにすれば良い.ホコリは入り込まないが,気体は流通するという条件下で,もしスープが腐敗すれば「生気説」が,腐敗しなければ「芽胞説」が正しいことになる.そこでパストゥールは,先端がS字状に曲がったフラスコを使った有名な実験をした.こうして芽胞説のほうが正しいことを証明した.


 バクテリアは大きさが1ミリの千分の1とか,そういう「微粒子」です.ウイルスはさらに小さくて,ほとんど分子レベルの大きさになる.ただ,たとえばインフルエンザのウイルスは,咳や痰に混じって出て来て,外界で水分が蒸発して小さなカタマリとなる.そういうカタマリ,つまり微粒子を吸い込まないように,マスクをすることは予防に効果がある.

 もう一度書きます.微生物とはホコリのようなものである.完全無風状態では,やがて地上に降り積もる.微弱な空気の動きで舞い上がり,空気中に浮遊する.それを吸い込むと,微生物を体内に取り込むことになる.ホコリが付着した食物を食べたり,ホコリのついた食器や手を使っても同じこと.
 ホコリは原則として上から降ってくる.だから空気中にホコリがあるときは食物にフタをする.牛乳やジュースなども,できるだけフタをする.

 放射性物質もホコリのようなものである.だから放射性物質を体内に取り込まないための注意とは,微生物を取り込まないための方法と共通する部分が多い.
 しかし,そういうことを「知っている」だけでは,たぶんダメでしょう.実験室や手術室で,微生物による汚染を避ける「無菌操作」は,それなりの教育を通じて習得されるものである.だから被災地の人たちにも,放射能を取り込まないための,それなりの教育を実施する必要があると私は思います.
(転載おわり)

 放射性物質は「ホコリのようなもの」と書いてしまった.事故直後ならともかく,今は様子が違うかもしれない.ただ当時,ホコリのような形で存在している放射性物質について政府もマスコミも何も言わなかったので,その点への注意を喚起したかった.そういう趣旨の記事です.
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